CIDP

CIDP の診断基準を自分の経験を踏まえてわかりやすく説明!

 

  • CIDP ってどんな病気?
  • 診断基準は?
  • 初期症状は?
  • 原因は?
  • 治るの?

CIDP(慢性炎症性脱髄性多発神経炎)はめずらしい病気なので情報が少なく、インターネットで調べてみても難しい用語や論文などが出てきてしまいます。

この記事では CIDP 患者である僕が、誰にでもわかるように CIDP について自分の経験を踏まえて解説していきたいと思います。

 

僕の CIDP の記録を知りたい方はこちらをどうぞ↓

 

3週間に1回の入院を継続していて、その度に動画配信サービス(月額で映画・アニメ・ドラマが見放題)を利用して映画を見ているので映画関係の記事もどうぞ↓

 

CIDP の診断基準をわかりやすく説明!

 

CIDP(慢性炎症性脱髄性多発神経炎)とは

 

CIDPとは自己免疫疾患のひとつです。

 

自己免疫疾患とは

通常は外敵から身を守るために異物を排除するのが役割である免疫が、自分の正常な細胞まで攻撃してしまう病気のことです。

 

女性に多いのも特徴です。

自己免疫疾患は CIDP 以外にもたくさんあります。

免疫が攻撃する部位の違いで分けられています。

自己免疫疾患を完治させる方法は今のところありません

薬で症状をコントロールしていくしかありません。

よって、一時的によくなっている状態を寛解といいます。

僕は今のところは寛解しています。

CIDP の場合は免疫が自分の正常な末梢神経を攻撃してしまう状態です。

それによって両手足の脱力、しびれなどが2ヶ月以上継続して進行、又は治ったり再発したりします。

 

この治ったりというのが厄介で、一時的にでも治ると気のせいだと思ってしまい結果的に病気の発見が遅れてしまう原因になってしまいます。

 

症状の進行は基本的にゆっくりなので、〇月〇日に発症したとは言えません。

僕の場合はちょっとおかしいなと思ってから明らかに何かしらの病気だと焦るまで3、4ヶ月もかかりました。

僕は年齢が若いので(当時24歳)症状の進行が早く、異変に早く気付くことができました。

そもそも若い CIDP 患者は少ないそうです。

 

しかし、ある程度の年齢になってしまうと症状の進行が遅い上に年のせいだと決めつけて病気の発覚が遅れてしまいます。

 

CIDPと似ている病気でギランバレー症候群という病気があります。

 

ギランバレー症候群とは

風邪やインフルエンザの後などに発症することが多く、4週間以内に急激な脱力、しびれ等が進行します。

重症化すると呼吸困難にまでなることがあります。

CIDPと違い自然に治ったり再発したりは滅多にありません。

治療法はCIDPと同じ免疫グロブリン療法です。

 

CIDP の診断基準

 

  1. 2ヶ月以上にわたり両手足の脱力、しびれ等の症状が出ている
  2. 同じ症状を引き起こすような他の病気、薬物、毒がない。遺伝する可能性もない
  3. 神経伝導速度検査で異常な所見が出る
  4. 脳脊髄液検査でたんぱく増加の異常が出る
  5. CIDP の治療法で改善した
  6. MRIで異常な所見が出る
  7. 神経生検で異常な所見が出る

上記の全部を満たす必要はありません。

僕の場合は①から⑤が当てはまりました。

CIDP 患者全員がそうかは知りませんが、僕の場合はかなり症状が進行した状態でやっと上記の検査で異常な所見が出ました。

腕はほとんと上げられなくなって、足も歩きづらくなりしゃがんだら立てなくなる状態でさえ検査に引っ掛かりませんでした。

 

CIDP の初期症状

 

CIDP の症状は個人差があり、全員が当てはまるわけではありません。

 

基本的な症状は両手足の力が入りにくくなり(片手、片足ずつではなく両手もしくは両足)、しびれや感覚麻痺が起こります。

感覚麻痺とは触っても触っている感じがしない、熱さ冷たさを感じないというような症状です。

脱力がなくしびれのみの人や、しびれはないが脱力はあるというように個人差があります。

僕の場合の初期症状をお話します。

僕は定期的に筋トレをしていたのですが、1ヶ月振りにダンベルを握ったときにダンベルを一回も上げることができませんでした。

1ヶ月前は10回以上上げれたのに。

それからシャワーで髪を洗うのがつらくなってきて、握力も落ちていきました。

僕の場合は腕を上げるときに使う上腕二頭筋から病気が進行していきました。

詳しく知りたい方はこちら↓

 

CIDP の発症原因

CIDP の原因は残念ながらまだわかっていません。

症状が起こる原因は上記で説明したように、ウイルスなどの外敵から身を守るための免疫が自分の正常な末梢神経を攻撃してしまうことです。

ただ CIDP を発症する人は若干男性に多く、年齢は2歳~70歳と幅広いのでどの年齢でも起こりうるということです。

遺伝性はないので親族に CIDP の人がいたからといって心配する必要はありません。

自己免疫疾患はストレスで症状が増減することから、ストレスと関係あることはわかっています。

僕も CIDP を発症した当時はかなりストレスが溜まっていた時期でした。

CIDP の症状が出るときも同様にストレスを感じているときが多いです。

CIDP の患者数

約10年前の日本人における CIDP の有病率は10万人に1.6人で、全国で2,000人ほどでしたが、今現在は数千人いるそうです。

つまり、かなり少ないということです。

CIDP の患者数が少ないせいで、新薬を開発したとしても利益が少ないことから今現在新薬の開発は行われていないようです。

しかし、ここ数年は神経学の研究が急速に進んでいるので他の自己免疫疾患(患者数が多く新薬の開発が行われている)の新薬が CIDP にも効く可能性があるそうです。

自己免疫疾患の新薬が開発されれば、他の自己免疫疾患にも効果があるか必ず試すそうです。

CIDP の治療法

CIDP の治療法は大きく分けて4つあります。

  1. 免疫グロブリン静脈内投与療法(IVIG療法)
  2. 副腎皮質ステロイド療法
  3. 血漿浄化療法
  4. 免疫抑制剤療法

上記の治療法は効き目に個人差があり、効く人と効かない人がいます。

 

① 免疫グロブリン静脈内投与療法(IVIG療法)

 

免疫グロブリンとは

1000人以上の血液中の免疫を集めたものです。

血液製剤ですが無色透明です。

それを5日間ほど点滴する治療法になります。

免疫グロブリンは血液製剤のため非常に高価(保険適用で30万円)ですが、CIDP は国の難病に指定されていますので1万円から3万円ほど(所得による)で済みます。

 

難病医療費助成制度というものがあり、1ヶ月の医療費の上限が決められていて所得により異なりますが、僕の場合は CIDP の治療費はどんなに治療しても月2万円で済みます。

 

免疫グロブリン療法は CIDP の治療法の中で最新の方法で第一選択とされています。

アレルギーを起こさなければ副作用も少ない安全な方法です。

主な副作用に頭痛があります。

僕もたまに頭痛になりましたが、頭痛薬を飲めば治るレベルのものです。

効き目は良いのですが、持続性があまりなく早くて投与から1ヶ月以内に効果がなくなり、脱力・しびれなどの症状が再発してしまうことが多いです。

ただ、個人差があるので長く効果が持続する人もいます。

また、5日間治療をして効き目がなくても再度5日間治療をして効き始める人もいます。

ここ最近免疫グロブリンを使った新しい治療法が始まりました。

それは維持療法と言います。

 

維持療法とは

3週間に1回免疫グロブリンを通常の半分の量を投与し再発を防ぐ方法です。

 

僕も現在はこの維持療法を行っています。

CIDP の患者はいつ再発するかわからない恐怖と毎日戦うことになります。

それが維持療法によってなくなります。

なぜなら3週間に1回免疫グロブリンを投与すれば効き目が切れる前にまた免疫グロブリンを投与することになるので再発の可能性がほぼないためです。

② 副腎皮質ステロイド療法

②の副腎皮質ステロイドとは自己免疫疾患全般に使用される炎症を抑える薬のことで、点滴する方法と錠剤(プレドニン)を飲む方法があります。

症状が強いときはステロイドを点滴するステロイドパルス療法を行います。

①の免疫グロブリンとプレドニンを併用することが多いです。

副腎皮質ステロイド療法の問題は副作用が多いことです。

点滴だけの場合は比較的副作用は少ないですが、プレドニンを併用することが一般的です。

プレドニンの副作用について詳しく知りたい方はこちらをどうぞ↓

 

③ 血漿浄化療法

血漿浄化療法は①の免疫グロブリンと②の副腎皮質ステロイド療法の効果がなかった場合に考えられる治療法です。

自分の血液中にある CIDP を引き起こしている原因物質を取り除きまた戻す療法です。

 

血漿浄化療法を行うには専門の医療機器が必要で限られた病院にしかありません。

 

僕の通っている病院には血漿浄化療法を行う機材はありませんでした。

また、心臓や腎臓が悪い人、高齢者はできないことがあります。

④ 免疫抑制剤

免疫抑制剤とは、免疫の過剰反応を抑える錠剤のことです。

上記の①~③が効かなかった場合に行われます。

なぜ錠剤を飲むだけの治療法が最後なのかというと、ガンになる確率が上がるという副作用があるためです。

僕の場合は免疫グロブリン療法とプレドニンの併用を試して効果があったのですが、持続力が低く1か月しか効果が持ちませんでした。

そこでステロイドパルスを行って1年ほど効果が持続しましたが、1年持続したということは1年に1回は再発したということです。

ステロイドは副作用が多いので1年に1回でもやりたくありませんでした。

そんなとき維持療法が始まったので今は維持療法を行っています。

 

CIDP の診断基準をわかりやすく説明! まとめ

CIDP は今のところ一生付き合わなければいけない病気です。

しかし、薬でコントロールして日常生活を送れている人はたくさんいます。

そして医療技術も進歩してきて、新しい治療法も開発されてきているのであまり悲観的ならず希望をもって生きましょう。

POSTED COMMENT

  1. でち より:

    ブログやツイッター拝見させていただきました。
    自分の経験や症状に似ている点も多く非常に参考になる一方で、起死回生マンさんは現在寛解してらっしゃるとのことで、自分はCIDPになってから一度も改善したことがないのでとても羨ましく思います。
    今後も情報交換させていただけたら嬉しいです

    • 起死回生マン より:

      コメントありがとうございます。
      CIDPは症状の程度、治療の効果も人によって異なってしまうため同じCIDPという病気でもいろんな方がいます。
      僕はたまたま治療の反応が良かったみたいですが、現在も3週間に1度グロブリン投与をしなければ筋力が落ちてしまう状態です。
      先生の話によれば、5、6年経ってから病気が落ち着き、治療の反応が良くなった方もいたらしいので希望は捨てない方が良いと思います。

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